ひとひらの夢

ひとひらの夢
突然有給休暇をとった。

 昨日までの慌ただしい時間とは別の時間がここには流れているようだ。

 もう博物館に飾ってもよさそうな旧型の気動車が少々間延びした警笛を鳴らしたあとゆるゆると動き

出した。

 

 

 今時めずらしく冷房がついていない車両の開け放った窓から心地好い風が中に入ってきている。
 

 さっきまで地方の街中を走っていた気動車は段々と山奥に向かって走っている。

 エンジンの音が騒がしくなってくる。

 鉄橋を渡った後、小さな駅にとまった。

 騒々しい学生の一団が乗り込んできた。部活動の帰りだろうか。好きな子のこととか、試験のこととか。時代は変わっても変わらない部分があるのだなと思っ た。

 ふと僕は窓の外を見た。初めて来たところなのに何故か懐かし い感じがする。

 反対側のプラットホームにたった一両の朱色の気動車がやってきた。

 

 

 数人の乗客を乗り降りさせた後動きだした。自分の乗った気動車もようやく動いた。

 エンジンの音が高鳴る。

 さほど感じない勾配であってもこの車両にとっては相当きついようだ。

 トンネルにはいるとひんやりとした冷気を感じた。

「おや」

 トンネルを抜けたあと窓から、ひらひらと一枚の紙が舞い込んできた。

 どこから来たのだろう。僕はあたりを見回した。
今乗っている人はこの車両に数人しかいない。
僕はその紙をそっとひらいた。

「あなたの夢は?か」

 単語帳ぐらいの紙にはその言葉しか書いていなかった。
僕はその紙をポケットにしまいこんだ。

 

 

山間の無人駅に停まった。何人か乗客が入れ代わった。

「この席よろしいですか」
「どうぞ」
「これからどちらへ」

 少々白髪交じりの男性はそう声をかけると僕の前の席に座った。

 僕はなるべく相手にしないようにしようとしたが、彼は話しつづけた。
 しかたなく彼の話し相手を付き合うことにした。

「まだ決めていないのですよ」
「それはいい。やたらに予定を立てないのが理想だな。」
「そちら何を」
「そうだな・・・何をといわれても。強いていればコレだろうね。」

 そう言うと彼はズボンのポケットから何やら紙を取り出した。

「この紙の答えです」

 僕は驚いた。さっき窓から迷いこんできた紙と同じ文章が書か れてあった。

「僕のと同じだ」
「奇遇ですね。あなたもなんですか。」
「実はさっき窓から迷い込んできて」

 気動車は轟音をとどろかせながら鉄橋を渡り再びトンネルにはいった。会話がしばらくとぎれた。

「私もそう、あなたと同じころでした。なんの予定も立てずにふらっと旅に出たんです」

 その紙を彼は見つめながら彼は話を続けた。

「初夏でね。そう窓を思い切りあけて外を眺めていたら、紙がひらひらと迷い込んできてね。こりゃどうしたものかと」
「それで今までずっともっていたんですか」

 彼はまたその紙を懐に大事そうにしまった。

 

「はじめはこの紙の言葉が気になりだして答えを見つけようとし ましたがね」
「それで見つかったのですかその答えは」

 

 彼は暫くの沈黙の後、ポツリと話した。

「・・・いや。結局まだ見つからない」

「しかし夢と聞かれれば、まず夢をもっているかどうかが先になるのでは」

「それもそうかもしれないけど、それだけではないでない。夢は 誰でも持っているし、誰でも夢を見ているじゃないかな」

 

 僕は話を続けた。
「けど、クサい話だけど夢は見るのではなく実現させるものだと思いますが」
「しかしその夢が実現したらどうする」
「どうするって・・・新しい夢をみつけますよ絶対に」

 彼は微笑みながら答えた。
「それで夢が実現できなかったら、所詮夢だったとあきらめるのか」
「・・・・」

 ディーゼルエンジンとレールのジョイント音のみが聞こえた。

 僕は苦し紛れに呟いた。

「夢は・・・あきらめないものですよ」

 気動車は徐々にスピードをおとした。

「答えは無理やり出すべきものでないんじゃないかな」

「どうして」
「私は思うんだ。生きていることが夢なんだとね。うまく君に説明できないけど。」
 

 彼は降りる支度を始めた。
「そのなかに答えがある?」
「そうかもしれない。」

 彼はそう言うと無人駅におりたった。
「それにやたらに答えを出さないのも理想だと思うんだ。旅も夢も」
窓越しに彼は言った。

 ファンと警笛をならして再び気動車は動きだした。

 緩やかな勾配を気動車は駆け上ると窓いっぱいに青い海が広がった。窓からの潮風が心地よかった。

「あなたの夢は・・・か」
 僕はその紙をそっとポケットにしまいこんだ。

 

おしまい

(この物語はフィクションです)

1997 12 27 乗った食べた飲んだ入った  疾風怒涛の37時間

下記の文章は

この旧サイトが始まる前

Eメールで友人・知人に宛てた「旅行記」である

 

よくもまあ、こんなことをしたもんだ(・∀・)

 

もらったほうも文章が長くて

読みづらいと言われたのである(笑)

 

ともあれ

画像はありませんが

とりあえず読んでください

 

 

 

 

 

————————

乗った食べた飲んだ入った

————————

====================

○■疾風怒涛の37時間■○

====================

 

 

 

 

 

 

 

<<出発の朝>>

 

 まだ夜明け前の駅。始発電車はホームには入ってきていない。これからおよそ37時間、1,200kmの旅が始まる。年末だというのに寒くない朝だ。程よい緊張感と期待が入り交じった不思議な気分である。

’97年12月27日午前5時26分出発。18きっぷを懐にして、風の吹くままが理想であるが取りあえず目標を立てた。

★できるだけその土地の食べ物を食べること

★可能な限り地酒に触れること

★時間と体の許す限り温泉を制覇すること

 はたしてこの目標の通りことが運べばいいのだが現実はそう簡単にはいくまい。それが常であるのだから。

 

<<上野駅>>

 

上野駅に7時すぎに到着。計画では8時06分の電車に乗り換えなので一時間程時間がある。年末の帰省ラッシュが始まってもいいはずだが、まだピークではないようだ。ここで朝食をとることにした。モーニングセットのトーストを頼んだがどうも腹にズンとこない。このさき食事が取れないことも考えて別のところでカレー南蛮を頼む。我ながら大食いである。立ち食いのそば屋であったがなかなか旨かった。

 

<<車内にて>>

 

 食後の満腹感で段々とまぶたが重くなる。うつらうつらと夢の世界へ入っていった。何せ4時起床である。どっちみち寝過ごしても高崎止まりである。車内は立っている人はいない。すいている。高崎につく30分前に目がさめた。変な特技であるが僕は終点の前で目がさめる。乗り過ごしたことは今のところ記憶がない。

 

<<高崎駅>>

 

 高崎駅9時52分定刻通り着。そういえば信越線の横川、軽井沢間が新幹線になって駅の案内表示が変わっていた。もう在来線ではいけないというのは寂しいものがある。ここで昼食用の鳥肉弁当を購入。

 

<<上越線車内>>

 

 車内は大きな荷物を持った人達がたくさんである。どうやらスキーに行くようである。がしかし山に近づいても雪らしきものが積もっていない。いやな予感がする。これから先の只見線は雪景色を期待していたのに。

 

<<トンネルを抜けると>>

 

 トンネル内に駅のある湯檜曽を出発する。螺旋状に弧を描いて勾配を登って行く。トンネルの壁に等間隔に並べられた蛍光燈が車窓に映る。「コォォォゥ」とレールの響きが車内に轟く。そして

 

トンネルを抜けると雪国であった。

 

前にもここの場所を電車で通ったことがあるが、何度通ってもこの風景はびっくりする。しかし次のトンネルを抜けて土樽に出ると、だんだんと雪は少なくなり、ついには止んでしまった。暖冬は嘘ではなかった。

 

<<小出駅>>

 

 小出駅にて只見線に乗り換える。二両編成のディゼルカーは、それなりに席が埋まっていた。

帰省らしき人に交じって重装備の人もちらほらみかける。山にでも登るのであろうか。ここから会津若松までは、およそ四時間の行程である。雪の無い雪国が窓の外に広がっている。ここ只見線は日本でも有数の豪雪地帯を走るである。なのに雪はまばらにしか振っていない。単調なレールのジョイント音がまるで子守り歌のように聞こえてくる。まどろみのなかにゆるやかに入ってくる。それは不快なのではなく心地好い。途中、田子倉駅で大きな荷物をもった人達が降りていった。あたりは民家もまばらである。

 

<<越後川口駅>>

 

 15時08分越後川口駅着。ここは只見線の真ん中辺にあたる駅である。ここで初めて下り列車と交換。ちなみに小出から会津若松へ乗り換えなく通しで乗れる列車は一日に3本しかない。運転本数が少なく、利用客がそれほど多くもないのに廃止対象にはなっていないのは、道路が雪に埋まって使えなくなるから、地元の交通の便を確保するためだそうだ。それにしても雪がない。この駅でおやつ調達。この先、売店はないようだ。車両を先頭のへ移る。またもや夢の中へ。

 別の席に座っている、オジさんの声で目を覚ますと谷間いっぱいに特大サイズの虹が見えた。写真を撮ろうとしたが間に合わなかった。

 

<<キハ58>>

 

 ここで、この先頭車両、キハ58について書いておこう。この車両は、もともと急行用に作られた気動車である。オリジナルは180馬力のディーゼルエンジンを2台積んであるが、近年JR東日本では旧形気動車のエンジンの交換を行い直噴形のディーゼルエンジンに変わったそうだ。記憶が正しければ、イギリス、カミンズ社250馬力のエンジンを230馬力に調整して2台載せてあるそうだ。しかし新型のディーゼルカーは車両自体が軽いうえに、エンジン1台で440馬力あるから当然旧形キハ58は非力である。現役で急行の運用についているのは全国で、数えるしかない。ほとんどがこの只見線のようにローカル線の普通列車に使われているている。個人的には人の温もりを感じさせる好きな車両のひとつだ。

 

<<喜多方>>

 

 会津若松を経由して喜多方につくとあたりはまっくらである。ホームには出迎えの人達もちらほら目に受ける。喜多方といえばもちろんラーメンである。喜多方も何回か訪れたことがあるが、駅前にあるお店が個人的には好きである。値がはったが、コーンチャーシューメン(醤油味)を注文した。ここのチャーシューは半端でなく大きくそしてウマイ!。大きさはおよそ12Cm×5Cm、厚さ5mmだろうか。はじめは2枚しか見えなかったが、丼のなかに折り重なるようにあと3枚静かに沈んでいた。恐らく自家製だと思われるこのチャーシューは口の中で「ホロッ」ととけていく。おまけにラーメンのスープは甘くもなく辛くもなく全部平らげてしまった。うまみ調味料をたくさん使っていないせいかトンがった刺激的な味ではない。少し表面は油っぽいように見えるか、飲んでみるとそうではなく絶妙なバランスでつくられた透明感のあるスープである。また麺は幅3mmほどの手打ち麺である。やや平べったく縮れた麺は、醤油のスープとからまり程よいコシがある。

おいしいものは現地までいかないとダメなようだ。

 

<<新潟へ>>

 

街のなかをしばらく見物しようかと思ったが、夕暮れと同時に閉店している店が多い。予定を変更して一本早い列車で出発することにした。あたりは真っ暗で何にも見えない。またもや満腹とあいまって眠くなってくる。

 

<<万代橋>>

 

 さて着いたはいいが、時間がまだある。胃袋と財布と相談をして?日本酒を飲みに行くことにした。あまり飲めないので、どの店にするか少々迷う。あまり高くないようなそば屋に入る。ガラガラではなかったが店内は仕事納めらしいサラリーマンと学生らしきグループしかいなかった。地方の夜は早いのだろうか、それとも年末だからであろうか。メニューを見るとそば屋であるから当然そばだけなのだが「へぎそば」というのがあって「3~4人前」と大きな器にドーンと載ったそばの写真があった。もう少し胃袋に空きがあったら2人前のを頼もうかと思ったが、やむなく普通のざるそばを頼んだ。こしがあっておいしい。そして日本酒は2種類あった。一つは久保田、もう一つは麒麟山。ぼくは前者の久保田を選んだ。飲み口は軽快で、香りがいい。冷酒で頼んだのからでもあるが・・・。後でドンとくると困るのでチビチビ飲んだ。

 

<<万代橋>>

 

 まだ時間がある。いったん新潟駅の待合室に戻ったが、酔いを醒ますためにも近くを散歩した。案内版をみると万代橋まで歩いて行っても大丈夫のようなので歩いて行くことにした。21時をすぎたばかりてほとんどの店はシャッターが閉まっている。しばらくすると橋がみえてきた。ライトアップされていて奇麗であった。

 

<<ムーンライト越後>>

 

 23時27分定刻通り新潟を出発。出発したときは座席は全部埋まっていなかったが、進につれてうまってきた。東京に行く人だけではなく、飲んだあとの終電のような使われ方をする人もちらほらみかけた。夜行列車にはめずらしく女子高校生のグループが乗り込んでいる。昼間ではあまり気にならないが、夜に声高に喋られるとちょいと困る。聞きたくもないに聞こえて来た会話の内容からコミケ、つまりコミックマーケットか。漫画の同人誌の集まりに行かれるようで、それでもってなにやら車内で作ってるのだ。・・・困るんだけど、まあ、我慢する。途中駅で車内の照明が薄暗くなる。夜行列車の雰囲気が濃くなる。窓の外は真っ暗で時折街灯が浮かんでは消える。なかなか眠りにつけない。そうそうするうちに時間が過ぎて行く。

暇潰しにデッキに行くと電車の洗面所で朝シャンをしている若い男性をみかけた。あれは一体なんだったろうか。

 

<<赤羽駅>>

 

赤羽駅で越後湯沢へコースを逆行する。どうしてこんな手のこんだまねをするかというと、時間調整のためである。ほとんど宿屋代わりである。朝早く着いても駅にはだれもいし寒いないからである。ホームには飲み込んで赤羽駅で始発で帰る人もちらほら見掛ける。電車に乗り込むとようやく眠くなってきた。

 

<<高崎駅/再び上越線>>

 

ほとんど野生の本能だろうか。どんなに眠っても降りる駅の前で目覚めるのだ。高崎駅に眠い目をこすりながら電車をおりる。さて朝食だとあたりを見回しても開いているお店はない。駅弁で朝食とした。

 前日と同じ様な種類の乗客が車内にいる。スキーを担いだ人達が多く見られる。結末を知った映画を再びみるようなものである。(途中は前日と同じなのでここでは省略する)

 

<<温泉へ>>

 

 越後湯沢に降りて温泉へ。この日も雪がない。スキーをする人達はさらに標高の高いスキー場へバスで移動を始めている。「駒子の湯」に向かう。川端康成の小説、雪国のヒロイン駒子にちなんで付けられた名前だそうだ。それはともかくとして、いけどもいけどもその建物がない。どうやら道に迷ったかと思ったが。ガイドブックに載っている方向に行ってみたが、そこにはナイ!ない!無い!!!。少し戻ると看板がある。案内板とガイドブックは位置がずれている。今度は案内版に沿って行くとようやくその建物がみえてきた。ガイドブックの記載の方が間違っていたのだ。道を隔てておよそ300m、ほかの建物に隠れてそいつはあった。さっそく温泉へ。昨日の夜駅の近くに銭湯が無かったのでようやくサッパリできる。共同浴場なので観光客よりも地元の人達の姿が目につく。お湯は単純温泉で色は無色透明。さらっとした感触の湯である。時間を逆算するとまだ時間があるのでもう一つイケそうである。さっさと身仕度を整えて今度は湯沢駅構内の温泉に行くことにした。外に出ると雨はほとんどやんでいた。実はここで傘を忘れたことに後で気がついた。イー気持ちで歩いているとこれだから困る。ぷらぷらと歩いて駅へ。道路には融雪ノズルが埋設されている。東京近郊のナンバーの車が目につく。

 

<<ぽんしゅ館>>

 

 もう一発温泉に入るまえに一杯引っ掛けることにした。越後地方の地酒を集めた「ぽんしゅ館」という施設がある。500円で5回利き酒ができるそうな。はいってみると、利き酒用のコップは小さな「おちょこ」であった。これじゃああまり飲めないなあと思いつつも利き酒(というか試飲だな)を始めた。専用コインを機械に入れるとおちょこ一杯分のお酒が出る。合計5回できるのだが・・・「越乃寒梅」と「上善水如」の名前は覚えているが後はもう・・・フィーバーというかハイな気分になってしまった。僕の日本酒の好みが「あっさりめ」で「香りが高い」タイプだとわかっただけでもよしとしよう。同じ施設内で昼間から日本酒の飲めるところもある。興味ある方はどうぞ!

 

<<酒風呂>>

 

 多少千鳥足になりつつも足は同じ施設内の温泉へ。ここは温泉に日本酒の醸造課程で出る日本酒のエキスを混ぜてあるという事だ。温泉の種類は駒子の湯と同じ単純温泉であるが、日本酒のエキスが入っているせいか滑らかな感じのする湯である。備え付けのボデイソープやシャンプーも日本酒のエキスがはいっている。徹底して日本酒である。湯上がりはつるっとしていて体があったまる感じだ。もっとも、あったまる感じはさっき飲んだお酒のせいもあるが。

 

<<帰途へ>>

 

 風呂の後は帰るだけである。車内で飲むワンカップを買った。「蔵酒」と書いた濁り酒である。電車に乗り込み、辛うじて雪の降っている土樽付近で封を開けた。豊潤な香りが口の中に広がった。それからおよそ30分後僕は夢の中にゆっくりと入っていった。しかしどんなに酔っても乗り換えを間違えないところは我ながらたいしたものである。疲れと酔いで眠りつつ何とか自宅に到着。およそ37時間中、車中で26時間をすごした旅が終わった。

 
****完****

ひとひらの夢

突然有給休暇をとった。

 昨日までの慌ただしい時間とは別の時間がここには流れているようだ。

 もう博物館に飾ってもよさそうな旧型の気動車が少々間延びした警笛を鳴らしたあとゆるゆると動き

出した。

今時めずらしく冷房がついていない車両の開け放った窓から心地好い風が中に入ってきている。
 

 さっきまで地方の街中を走っていた気動車は段々と山奥に向かって走っている。

 エンジンの音が騒がしくなってくる。

 鉄橋を渡った後、小さな駅にとまった。

 騒々しい学生の一団が乗り込んできた。部活動の帰りだろうか。好きな子のこととか、試験のこととか。時代は変わっても変わらない部分があるのだなと思っ た。

 ふと僕は窓の外を見た。初めて来たところなのに何故か懐かし い感じがする。

 反対側のプラットホームにたった一両の朱色の気動車がやってきた。

数人の乗客を乗り降りさせた後動きだした。自分の乗った気動車もようやく動いた。

 エンジンの音が高鳴る。

 さほど感じない勾配であってもこの車両にとっては相当きついようだ。

 トンネルにはいるとひんやりとした冷気を感じた。

「おや」

 トンネルを抜けたあと窓から、ひらひらと一枚の紙が舞い込んできた。

 どこから来たのだろう。僕はあたりを見回した。
今乗っている人はこの車両に数人しかいない。
僕はその紙をそっとひらいた。

「あなたの夢は?か」

 単語帳ぐらいの紙にはその言葉しか書いていなかった。
僕はその紙をポケットにしまいこんだ。

山間の無人駅に停まった。何人か乗客が入れ代わった。

「この席よろしいですか」
「どうぞ」
「これからどちらへ」

 少々白髪交じりの男性はそう声をかけると僕の前の席に座った。

 僕はなるべく相手にしないようにしようとしたが、彼は話しつづけた。
 しかたなく彼の話し相手を付き合うことにした。

「まだ決めていないのですよ」
「それはいい。やたらに予定を立てないのが理想だな。」
「そちら何を」
「そうだな・・・何をといわれても。強いていればコレだろうね。」

 そう言うと彼はズボンのポケットから何やら紙を取り出した。

「この紙の答えです」

 僕は驚いた。さっき窓から迷いこんできた紙と同じ文章が書か れてあった。

「僕のと同じだ」
「奇遇ですね。あなたもなんですか。」
「実はさっき窓から迷い込んできて」

 気動車は轟音をとどろかせながら鉄橋を渡り再びトンネルにはいった。会話がしばらくとぎれた。

「私もそう、あなたと同じころでした。なんの予定も立てずにふらっと旅に出たんです」

 その紙を彼は見つめながら彼は話を続けた。

「初夏でね。そう窓を思い切りあけて外を眺めていたら、紙がひらひらと迷い込んできてね。こりゃどうしたものかと」
「それで今までずっともっていたんですか」

 彼はまたその紙を懐に大事そうにしまった。

 

「はじめはこの紙の言葉が気になりだして答えを見つけようとし ましたがね」
「それで見つかったのですかその答えは」

 

 彼は暫くの沈黙の後、ポツリと話した。

「・・・いや。結局まだ見つからない」

「しかし夢と聞かれれば、まず夢をもっているかどうかが先になるのでは」

「それもそうかもしれないけど、それだけではないでない。夢は 誰でも持っているし、誰でも夢を見ているじゃないかな」

 

 僕は話を続けた。
「けど、クサい話だけど夢は見るのではなく実現させるものだと思いますが」
「しかしその夢が実現したらどうする」
「どうするって・・・新しい夢をみつけますよ絶対に」

 彼は微笑みながら答えた。
「それで夢が実現できなかったら、所詮夢だったとあきらめるのか」
「・・・・」

 ディーゼルエンジンとレールのジョイント音のみが聞こえた。

 僕は苦し紛れに呟いた。

「夢は・・・あきらめないものですよ」

 気動車は徐々にスピードをおとした。

「答えは無理やり出すべきものでないんじゃないかな」

「どうして」
「私は思うんだ。生きていることが夢なんだとね。うまく君に説明できないけど。」
 

 彼は降りる支度を始めた。
「そのなかに答えがある?」
「そうかもしれない。」

 彼はそう言うと無人駅におりたった。
「それにやたらに答えを出さないのも理想だと思うんだ。旅も夢も」
窓越しに彼は言った。

 ファンと警笛をならして再び気動車は動きだした。

 緩やかな勾配を気動車は駆け上ると窓いっぱいに青い海が広がった。窓からの潮風が心地よかった。

「あなたの夢は・・・か」
 僕はその紙をそっとポケットにしまいこんだ。

3000アクセス突破記念プロフィール

3000アクセス突破ありがとうございます

おかげさまをもちまして
当サイトが3000アクセスを突破致しました。
ご来訪頂きました皆様方のおかげです。

遅れ馳せながら?
プロフィールを紹介させていただきます。

OS、ホームページ作成ソフト

OSバージョン:Windows 98
かなり初期の Windows 98

ホームページ作成ソフト
Start! @homepage
ニフティ会員限定無料の作成ソフト

画像処理ソフト
JTrim
フリーソフト

エディター
TeraPad
フリーソフト

ハードウェア

コンピューター
自作コンピュター プラコン
ただし買った当初と中身はずいぶん異なる

CPU名
(GenuineIntel) Pentium(r) Ⅲ Processor 550MHz

メモリーサイズ
447MB

カメラ

デジカメ
オリンパスC-840L 130万画素

一眼レフカメラ
キャノンAE-1

二眼レフカメラ
LUBITEL166B
旧ソ連製カメラ 6×6 ブローニィ版

スキャナ

キャノン IX4025
SCSI接続

壊れたもの

マウス 2個以上
キーボート 1台
・・・記憶にあるのはこのくらい。
実際はもっとあるかも

壊したもの

ノートパソコン
4台以上(数えていない)

ハードディスク
5台以上(数えていない)

電源
3個

マザーボード
2枚

物理的に壊したもの
OSの再インストール
・・・数え切れない

本人想像図

本人について

性別 男

ヨン様と氷川きよしを足してマツケンサンバを掛けたようなものらしい。(どんな顔だ!?)

生息地
湘南(少なくとも当人はそう思っている)

年齢 ヒミツ
ヒント
ドリフターズの加藤茶の「チョットだけよ」をリアルタイムでテレビで見た。
ブルートレインブームを直接体験した。
吹奏楽部に所属していてチェッカーズや松田聖子の曲を演奏した。


いすゞジェミニ C/C SE
形式JT150
燃料ガソリン

初年度登録昭和63年10月
積算走行キロ120,000キロ突破
3オーナーカー!!
一説には87馬力とも83馬力とも
・・・数々の伝説を生んでいるジェミニらしい

↑もういません・・・

デースケドガー終了!!

デースケドガー の検索結果 約 387,000 469位でランクイン

デースケドガー ランキングトレーサー

2005 04/09 00時 : [469]:
2005 04/08 15時 : [469]:
2005 04/08 12時 : [469]:
2005 04/07 10時 : [459]:
2005 04/07 09時 : [459]:
2005 04/07 08時 : [459]:
2005 04/07 07時 : [459]:
2005 04/07 06時 : [460]:
2005 04/07 05時 : [460]:
2005 04/07 04時 : [460]:
2005 04/07 03時 : [460]:
2005 04/07 02時 : [460]:
2005 04/07 01時 : [460]:
2005 04/07 00時 : [460]:

おかげさまをもちまして1000以内に
ランクインしてます。
今後ともどうぞよろしく。

来訪者分析 その1 何回目?

えーさてさて。どんな皆様がご来訪されているか、チョイト見ていきましょう。
まずは、あなたは何回目?ハイ、圧倒的に1回目が多いです。懲りずに何度もきてください(笑)定期的には更新しませんが、ある日突然更新します。どうぞよろしく。

来訪者分析 その2 あなたのOSは

さて、OSですがさすがXPが多いです。
以外と健闘しているのが98、2000の方も多いですね。

来訪者分析 その3 ブラウザは

圧倒的にインターネットエクスプローラですが、
新興勢力のOpera、Mozillaもあります。

僕のWindows98は爆速してます 

・・・体感では、少ししか感じません。
レジストリをいじっています。

時々爆速どころか暴走してフリーズします。

よい子の皆さんはまねしないように。

(詳しい技術的な説明は省きます)

休日旅行人はどんな花

ネットをうろついていたらこんなのを見つけた。
http://a.parsons.edu/%7Echristine/fall_03/organic_html/

↑現在ないです

ウチのサイトは「湘南の潮風」らしい?青い花です。

けど【むいーん】と臭うのかハエらしき姿も。

あのころ僕は・・・

これは、今をさかのぼること10数年前、ホームページを作る前に人の迷惑顧みず友人向けに無理やり送った旅行記の一部である。

たしかムーンライト(今はムーライトえちご)で
喜多方へいったときのものだと思う。

体は今のほうが太っているが・・・

基本的な格好はほぼ同じ (^o^)
お酒飲めなくなったなー。
夜行列車もご無沙汰してます。
全行程距離も短くなった。

つまり、オッツァン化したとうことだろうか?

実はまた破壊しました・・

平穏な自作コンピュータとの日々が続いてたこのごろだった。音もなく忍びよるダークサイドからの内なる声・・・

某コンピュータショップでかったガラクタがそもそもの発端だった。見るからに怪しげな?カード。好奇心を押さえられず投入!!

そこから悲劇が始まった・・・

まず、電源が沈黙し、そのまま動かなくなった。
そして、マザーボードもウンともスンとも言わなくなった。

いつもなら派手に「火花が飛ぶ」「煙はく」などあるのだが静かな終わり方であった。

ようやく中古部品を取り揃え修理。壊れたところはわかっている。

で、完成後「懲りずに」カスタマイズ。

解かっちゃいるけど♪やめられない♪

最後に

初めて休日旅行人を見た方へ
プロフィールを信じるか否かはあなたの心次第です。

よく知っている関係者の方々へ
心配ご無用です(なにが?)

 

新江ノ島水族館

ふらりと江ノ島へ

・・・いやいや
仕事が決まらない
なんという憂鬱

というわけで
江ノ島まできてしまった

新江ノ島水族館

魚の群れ

中に入るとそこは別世界
魚が群れて目の前を通り過ぎている

僕は群れているのだろうか

大水槽

しばし大水槽前で
我を忘れる

水中探検

うーん癒される
ダイビングしている人は
こんな風景を見ているのだろうか

クラゲ

ふわふわとクラゲが
目の前を過ぎていく

流されて

ただ自分も
流れに流されていくだけなのか

とどまることを知らない

それとも
ずーととどまることもなく
動き回るのだろうが

義経号

ぼんやりと
自分の行き先を考えた
一日

旅は終わらない
終わらせることはできるけど

 

さよなら300編成撮影会

8月17日

さてさて、日が変わって
9月17日

江ノ電のイベントに潜入

廃車

こんどこれらの300系の一部が
廃車になるとのこと。

時代の波

いろいろと車両には手がくわえられているが
長い間お疲れ様でした

ちなみにJR103系も最後の編成が
首都圏から撤退と新聞に載っていた

時代の流れですね

峠へ

イニシャルDの影響?

まだ観光客のこない
箱根の芦ノ湖

この前みた「イニシャルD」に感化されたのか
ナンだかきてしまった箱根

勿論目的は温泉ですよと
ごまかしつつ

まだ温泉の開く時間まで
しばし時間がある

仙石原

仙石原へ
まだまだススキの穂は開いていない

ススキが輝くのは光の加減で
一日のうちわずかな時間しかない

秋の足音

季節は確実に移ろいでいる

この前までうだるような暑さだったのに
風は秋のニオイをのせてきた。

芦ノ湖スカイライン

・・・なんで芦ノ湖スカイラインに
・・・( ̄  ̄;) うーん

風がよんでいるのサ

バ・ト・ル

で、こんな写真を撮っている間にも
ランエボ?やらハコスカ?が
カッ飛んでいるのである。

はっきりいって車種特定できないほど

かないませんよジェミニじゃぁ

このあとはやっぱり・・・

この後勿論?温泉です

温泉を攻めにいく
ワタシでした

さよなら江ノ電304編成

本当はカメラテスト

カメラの調子が悪い
キャノンAE-1
年代ものだからな

イジって治してカメラテスト
江ノ島へ

いきなりヘッドマーク付の電車

そうかぁ
このまえさよなら300系て
撮影会あったよな

沿線にカメラマン

それだろうか
沿線にカメラを持った人たちが
いたのは

出会えただけでラッキーだったかな

江ノ電定番撮影地

このあと併用軌道へ
1052がやってきた

そういえば塗色変えたんだ
コチラのいろもなかなか似合っている

横浜トリエンナーレ2005

チケット売り場

横浜トリエンナーレに出かけた
3年に一度の現代美術の大展覧会

チケット売り場からアートしてます。

会場は倉庫

倉庫までの道程

このひらめく小旗も作品の一つだそうです。

トラック

会場の倉庫内は撮影禁止なので
会場外の展示物を撮る。

このトラックもアートらしい
荷台の中で映像作品が上映されていた

アート

このプラスチックケースの構造物も
アートらしい。

パフォーマンス

・・・パフォーマンスらしい。
「だるまさんがころんだ」しています。

秘密基地

これも屋内の展示物
海にむかって立てられた建造物
この窓からの景色が作品?????

体験するアート

どうやらこの手の作品は
考えるものではなくて、感じるものなのだろう。

カビくさい気取った知識よりも
己の感性を働かせるのがひつようであろう。

これ紙パックの鮫らしい

牛乳パックで作られた鮫
体内にも小さな作品が並ぶ

うーん。のりが学園祭というか、文化祭というか。
とにかく脳みそに直接語り掛けてくる作品が多かった。

いいんじゃない。そういう現代美術の感じ方も。